過度の思い入れがあったパリに行って現実とのギャップを実感
日本人の女性に蔓延するパリ症候群とはどんな現象なのでしょうか
パリで多発するのは①もともと過度の思い入れ(花の都幻想)を持ち、目的意識があいまいで、経済力が弱い滞在者が多い②言葉の壁や現地社会の『不親切さ』などが背景とされる。問題が生じてもなかなか帰国せず、トラブル後に帰国しても戻って来ることが多い」現実は甘くないフランス生活パリ症候群を授業でテーマに取り上げた時、「パリ症候群はパリだから起こる現象で、他の首都、たとえばニューヨーク症候群やロンドン症候群は考えられない」という意見が五十代男性のO氏から出た。
在留日本人の数で言えば、確かにロンドンの方がはるかに多い。物価はロンドンの方が高いし、パリのフランス人がロンドンのイギリス人より冷たいわけでもないので、パリでの適応が難しいとすれば原因はやはり本人の方にある。つまり、パリという都市そのものではなく、本人のイメージするパリが問題で、そのイメージは本人の日本での生活や精神状態に左右される。朝日新聞の記事によれば、患者の七三%は女性で、二十代と三十代が突出するという。
太田の二〇〇四年の診察例から引用されている三人の女性のケースの内、一人は大学生だが残りの二人は三十代の転職組。ファッション関係と雑貨バイヤーの仕事を夢見てパリに渡ったが、どちらも半年後には外出恐怖がはじまり、一年以内に発症したという。「フランスで新しい人に!」と意気込んで渡仏したが、現実は甘くない。だからやっぱり誇大広告で、そう思い込ませるキャッチフレーズは、はっきり言って罪だ。もちろん、「夢をみせるのが広告だ」と言われればそれまでだが、私自身は、留学を考える人に「生まれ変われる」などという甘いことを言ったことは一度もない。
そしてパリ症候群が発症する。「パリに住んでいるのだから、これまで遠くから眺めていたフランス文化の発信源に近づき、身体で体験できるはずだ」という以前からの思いと、「パリに住んでいても、アパルトマンと学校を往復して友人と話すだけなら、他所に住んでも変わらない」という現実の認識とが交錯する。この認識を経て、現実のパリを見ることができるようになれば、パリ症候群に陥ることはない。
思い入れが強いほど、現実を認めたくない、認められない。フランス人と結婚しちゃえばいいのよパリ症候群にもっとも陥りやすい二十代・三十代の女性の場合、それなりに目的を持って渡仏するが、日本での生活に対する不満が根っこにあるため、「フランスに住みたい」、「できればずっと暮らしたい」という願いが、隠された真の目的であることも少なくない。
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